「株で儲かった」「〇〇社の株が上がった」「株価が暴落した」。
こんな言葉は、ニュースやSNSでもよく目にします。
でも、いざ「そもそも株って何?」と聞かれると、意外とうまく説明できない人も多いのではないでしょうか。
株を「値段が上がったり下がったりするもの」とだけ考えていると、そもそも自分が何を買っているのか分からないまま、「投資」という言葉だけが先に進んでしまいます。
この記事では、
- 株を買うと、結局何を持つことになるのか
- 株主になると何ができるのか
- 株を買ったお金は会社に入るのか
- 株価は誰が決めているのか
- 会社が儲かると株主にはどう関係するのか
- 株を買うことで、どんな損失が起こり得るのか
を、投資経験がない人にも分かるようにゼロから整理します。
特定の銘柄をおすすめしたり、将来の株価を予想したりする記事ではありません。
今回のゴールは、「株って、そもそもこういう仕組みだったのか」を理解することです。
株を買うって、結局どういうこと?
まず、いちばん大切なところから整理しましょう。
株を買うとは、その会社が発行した「株式」を取得し、株主になることです。
株式は、会社が出資を受けて資金を集めるための仕組みの一つです。
株式を持つ人は「株主」となり、保有する株式に応じて、株主としての権利を持ちます。
ただし、ここで一つ重要な注意があります。
私たちが証券取引所で、すでに発行されている株式を別の投資家から買った場合、自分が払った購入代金が、そのまま発行会社へ入るわけではありません。
この違いについては、後ほど「発行市場」と「流通市場」のところで詳しく説明します。
また、「株を買う=会社の一部を持つ」と表現されることもありますが、会社の建物や工場、商品、現金などを直接切り分けて所有するわけではありません。
株式を保有することで持つのは、その会社に対する株主としての権利です。
つまり、
会社の机や工場の一部が自分のものになる → ✕
その会社の株式を持ち、株主としての権利を持つ → 〇
という理解が近いでしょう。
株主になると何ができる?
では、「株主としての権利」とは具体的に何なのでしょうか。
代表的なものを3つ見てみましょう。
① 株主総会で議決権を行使する
株主は、株主総会で取締役の選任など、会社の重要事項について議決権を行使できます。
ただし、
「株を1株持てば、必ず何でも1票投票できる」
というほど単純ではありません。
東証上場の内国株式では売買単位が100株に統一されており、単元株制度を採用する会社では、原則として1単元につき1個の議決権があります。株式の種類などによっても権利の内容は異なります。
② 配当などを受ける
会社が利益を上げた場合、その利益の一部を株主へ還元する方法の一つが「配当」です。
ただし、
株を持っていれば必ず配当金がもらえるわけではありません。
配当を行わない会社もありますし、配当額が毎年同じとも限りません。
③ 会社清算時に残った財産の分配を受ける
会社が解散・清算する場合、債務などを支払ったあとに財産が残っていれば、株主はその残余財産の分配を受ける権利を持ちます。
ここで大切なのは、
株主への分配より先に、債権者などへの支払いがある
ということ。
会社に財産が残らなければ、株主への分配がゼロになることもあります。
株を買ったら「株券」が家に届く?
「株を買ったら、紙の株券が家に届くの?」
と思う人もいるかもしれません。
昔は実際に紙の株券がありました。
しかし、日本の上場会社の株式については、2009年1月5日に株券電子化が実施されています。
現在は、紙の株券を受け取って金庫に保管するような仕組みではありません。
証券保管振替機構(ほふり)や証券会社などの口座を通じて、株主としての権利が電子的に記録・管理されています。
つまり今の株式投資は、
「株券という紙を買う」
というより、
「株式を取得し、その権利が電子的に記録される」
と考える方が実態に近いわけです。
そもそも会社はなぜ株を発行するの?
会社が事業をするにはお金が必要です。
工場を造る、新しい商品を開発する、人を雇う、店舗を増やす――。
こうした活動には資金がかかります。
会社が資金を調達する方法は一つではありません。
たとえば銀行などからお金を借りる方法もあれば、株式を発行して出資を受ける方法もあります。
以下は大まかな違いです。
| 資金調達の方法 | 特徴 |
|---|---|
| 借入れ(融資など) | 原則として返済義務があり、利息などの負担がある |
| 株式を発行して出資を受ける | 借入金と同じように元本の返済や利息の支払いを約束するものではない |
これだけ見ると、
「返済しなくていいなら、会社は株式で資金を集めた方が得なのでは?」
と思うかもしれません。
でも、そんな単純な話でもありません。
株式を発行すれば、新たな株主が生まれます。株主には議決権などの権利があり、既存株主の持分割合が変化することもあります。
そして投資家側は、出資した金額が保証されているわけではありません。
企業価値や株価が下がれば損失を負う可能性があります。
株価が上がったら、そのお金は会社に入る?
ここは今回、ぜひ覚えて帰ってほしいポイントです。
たとえばAさんが持っている「〇〇社」の株を、Bさんが市場で買ったとします。
Bさんがお金を払って株を買いました。
では、そのお金は〇〇社に入るのでしょうか?
基本的には入りません。
Aさんが保有していた既発行株式をBさんが買ったのであれば、これは投資家同士の取引だからです。
こうした、すでに発行された株式を投資家同士で売買する市場を「流通市場」といいます。
一方、会社が新しく株式を発行するなどして、投資家から資金を調達する場面があります。
こちらが「発行市場」です。
| 市場 | 何が起きている? | 発行会社に資金が入る? |
|---|---|---|
| 発行市場 | 会社が新株を発行するなどして投資家から資金を調達 | 〇 ※発行方法による |
| 流通市場 | 既発行株式を投資家同士で売買 | 購入代金が会社へ直接入るわけではない |
私たちが普段、証券取引所で上場株式を売買するときは、基本的にこの流通市場で取引しています。
だから、
「株価が1,000円から1,500円になったから、会社に500円入った」
という話ではありません。
ただし、流通市場の株価と会社の資金調達が無関係という意味でもありません。
市場で形成される株価は、会社が将来新株を発行して資金調達するときなどにも関係します。
大切なのは、
株価の毎日の値動き=その金額が会社の口座へ出入りしている
わけではない、ということです。
じゃあ、株価は誰が決めている?
では、毎日動いている株価は誰が決めているのでしょうか。
社長?
証券会社?
東京証券取引所?
基本的には、市場に出された「買いたい」という注文と「売りたい」という注文が出会うことで価格が形成されます。
つまり需要と供給です。
ただし、
「業績が良ければ必ず株価が上がる」
というほど単純ではありません。
株価には、
- 現在の業績
- 将来の成長への期待
- 金利
- 景気
- 為替
- 国内外の市場環境
- 株式の需給
- ニュース
- 投資家心理
など、さまざまな要因が影響します。
そのため、
「良い会社だから株価は必ず上がる」
とも、
「利益が増えたから株価も同じ割合で上がる」
とも限りません。
会社が儲かったら、株主にもそのまま利益が入る?
会社が利益を出したら、その利益がそのまま株主の銀行口座に振り込まれる――。
もちろん、そういう仕組みではありません。
会社が稼いだ利益には、さまざまな使い道があります。
たとえば、
- 配当として株主へ還元する
- 新商品や設備などへ再投資する
- 将来に備えて会社内部に蓄積する
などです。
利益を出しても、必ず配当するとは限りません。
逆に、利益を事業へ再投資することで将来の成長を目指す会社もあります。
また、
会社の利益が10%増えたら、株価も10%上がる
という関係でもありません。
株価には、その会社の「現在」だけでなく、将来への期待なども織り込まれるからです。
株で利益が出る2つの基本パターン
株式投資による利益は、大きく2つに分けて考えられます。
① 値上がり益(キャピタルゲイン)
たとえば1株1,000円で買った株を1,200円で売れた場合、手数料や税金等を考慮しなければ、その差額200円が値上がり益です。
もちろん逆に800円へ下がったところで売れば、200円の損失になります。
② 配当(インカムゲイン)
会社が配当を実施すれば、保有株式数などに応じて配当金を受け取れる場合があります。
ただし繰り返しになりますが、
配当は保証されたものではありません。
配当を行わない会社もありますし、減額や無配になる場合もあります。
また、日本には株主優待を実施している会社もありますが、これもすべての会社が行っている制度ではありません。
逆に、株を買うと何を失う可能性がある?
株式には元本保証がありません。
1株1,000円で買った株が800円になり、その価格で売れば損失が発生します。
会社の経営状態が悪化すれば、株価が大幅に下落する可能性もあります。
さらに会社が倒産・清算する場合には、会社の債権者などへの支払いが先に行われます。
その後に財産が残っていなければ、株主への残余財産の分配がないこともあります。
また、証券会社が破綻した場合などに顧客資産を保護する仕組みと、投資先企業の業績悪化や倒産による株式の損失を補償することは別の話です。
金融庁も、発行会社の倒産による株式等の価値下落は投資者保護基金による補償対象ではないと説明しています。
つまり、
株主になる=利益が保証される
ではありません。
企業の成長による利益を得られる可能性がある一方で、損失の可能性も引き受けるのが株式投資です。
株式投資はギャンブルなの?
「株って結局、ギャンブルじゃないの?」
という疑問もあります。
これを単純に、
「株はギャンブルではありません」
と片づけるのも適切ではありません。
株式には、企業が出資を受け、投資家が株主になるという経済的な仕組みがあります。
一方で、将来の株価は確定しておらず、元本割れする可能性があります。
さらに、同じ株式でも関わり方はさまざまです。
短期的な値動きを中心に売買する場合と、企業の事業や業績を見ながら長期間保有する場合では、考え方もリスクの取り方も異なります。
だから大切なのは、
「株だからギャンブル」「長期なら絶対安全」
のように単純化しないことです。
1株だけ買っても株主なの?
原則として、1株でも株式を保有すれば株主です。
ただし、株主であることと、すべての株主権を同じように行使できることは別問題です。
東京証券取引所では、内国株式の売買単位は100株に統一されています。単元株制度を採用する会社では、原則として1単元につき1個の議決権があります。
一方、証券会社によっては100株未満の「単元未満株」を購入できるサービスもあります。
ですから、
「100株ないと株主ではない」
というわけではありません。
自分の場合は?株を買う前に最低限考えたいこと
ここまで読んで、
「じゃあ実際に株を買ってみようかな」
と思った人もいるかもしれません。
ただ、銘柄を探す前に確認したいことがあります。
- 生活費や近いうちに使う予定のお金まで投資しようとしていないか
- 株価が下がる可能性を理解しているか
- 「絶対上がる」「必ず儲かる」といった情報を鵜呑みにしていないか
- 自分が株式を取得しようとしている会社が、何をしている会社なのか理解しているか
株を買うということは、単にチャートの数字を買うことではありません。
その会社が発行した株式を持ち、株主になることです。
まずこの仕組みを理解してから、「ではどの会社を見るのか」へ進む方が自然でしょう。
まとめ|株は「値段が動く数字」ではない
今回のポイントをまとめます。
- 株を買うとは、その会社が発行した株式を取得して株主になること
- 株主は会社の財産を直接切り分けて所有するわけではない
- 株主には議決権や配当・残余財産に関する権利などがある
- ただし配当や利益は保証されていない
- 投資家同士が既発行株式を売買しても、その購入代金が会社へ直接入るわけではない
- 株価は業績だけでなく、需給、金利、景気、将来への期待などさまざまな要因で動く
- 株式には元本保証がなく、大きな損失が生じる可能性もある
「株=値段が上がったり下がったりする数字」だったものが、
「株式=企業と投資家をつなぎ、保有した人が株主として一定の権利を持つ仕組み」
と見えるようになれば、今回の授業はひとまず成功です。
でも、次の疑問が出てきます。
「じゃあ、何千社もある会社の中から、投資家は何を見て選んでいるの?」
売上?利益?
それともPERやPBR?
ここからが、株式投資を理解する次のステップです。
次回の「お金の授業」では、株を買う前に会社の何を見るのかをゼロから整理していきます。
一次情報・参考資料
- 金融庁「株券電子化について」
- 金融庁「株券電子化が平成21年1月5日より実施されました」
- 日本取引所グループ(JPX)「内国株の売買制度」
- 日本取引所グループ(JPX)
- 日本証券業協会

ここまで読んで「株の仕組みは分かった。実際に株式を見てみたい」という人向けに、 証券会社の選択肢のひとつとしてDMM 株を紹介します。
- 日本株と米国株を1つのアプリで取引可能
- 国内株式の現物取引手数料は55円~
- 米国株は1株単位から取引可能
- 初心者向け・通常取引向けのアプリモードを用意
- 投資に役立つニュースやレポートも提供
※手数料・サービス内容・キャンペーン等は変更される場合があります。 申込み前にDMM 株の公式サイトで最新の条件をご確認ください。
株式投資には、株価の変動等により元本割れとなるリスクがあります。 外国株式では、株価変動に加えて為替変動等による損失が生じる場合があります。 投資にかかる手数料・リスク・取引条件などの詳細は、DMM 株の公式サイトをご確認ください。


コメント