2026年度の最低賃金は全国加重平均1,177円へ。ただし全国一律1,177円になるわけではありません。47都道府県の改定額・発効予定日から、パート・アルバイト・月給制への適用、手当や残業代を含むか、自分の給与の確認方法まで初心者向けに解説します。
「最低賃金、全国1,177円になるんだって」
ニュースやSNSでこの数字を見て、「じゃあ自分の時給も1,177円になるのかな」と思った方、いませんか。
先に結論からお伝えすると、それは少し違います。
「1,177円」というのは、47都道府県の最低賃金を、労働者数を加味して平均した「全国加重平均」です。
全国どこで働いても時給1,177円になる、という意味ではありません。
実際にあなたに関係するのは、原則としてあなたが働いている事業場がある都道府県の最低賃金です。
しかも、変わるタイミングも都道府県によって違います。10月1日に全国一斉で切り替わるわけでもありません。
この記事では、
「自分の県はいくら?」
「いつから変わる?」
「パートやアルバイトだけ?」
「正社員や月給制は?」
「残業代や交通費も含めて計算する?」
というところまで、初心者向けに整理します。
読み終わるころには、自分の場合は何を確認すればいいのかまで分かるようにしていきます。
※この記事の数字は、2026年9月3日までに公表された厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金額答申状況」に基づいています。現時点では地方最低賃金審議会の「答申」段階で、発効予定日は異議申出等の手続きを経て変更される可能性があります。
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結論|全国一律1,177円になるわけではない
まず、いちばん大事なところです。
全国加重平均1,177円=あなたの最低賃金が1,177円になる、ではありません。
実際に給与へ関係するのは、原則として「あなたが働いている事業場がある都道府県」の最低賃金です。
東京で働く人には東京の最低賃金、熊本で働く人には熊本の最低賃金が適用されます。
イメージとしては「全国平均」という統計と「自分に適用される数字」は別、と考えると分かりやすいでしょう。
ニュースで「全国1,177円」という数字を見たら、そこで終わらず、
「じゃあ自分が働いている県はいくら?」
まで確認することが大切です。
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2026年度の最低賃金はどう変わる?
2026年度(令和8年度)の答申内容をまとめると、主なポイントは次のとおりです。
- 全国加重平均は1,177円
- 2025年度の1,121円から56円引き上げ
- 47都道府県すべてで引き上げ
- 引き上げ額は54円~65円
- 最も高いのは東京都の1,280円
- 最も低いのは宮崎県の1,085円
- 最高額に対する最低額の比率は84.8%
全国加重平均で56円の引き上げとなる答申です。
そして、もう一つ重要なのが「いつから変わるのか」。
2026年度は、早いところでは10月1日、遅いところでは12月2日が発効予定日となっています。
つまり、
「10月から最低賃金が1,177円になる」
という理解ではありません。
自分の都道府県の金額と発効予定日の両方を確認しましょう。
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47都道府県の最低賃金と発効予定日
ここからは、47都道府県すべてについて、
2025年度額 → 2026年度答申額(引き上げ額)/発効予定日
を地域別にまとめます。
自分が働いている都道府県を探してみてください。
北海道・東北
北海道
1,075円 → 1,131円(+56円)
発効予定:10月1日
青森県
1,029円 → 1,090円(+61円)
発効予定:10月29日
岩手県
1,031円 → 1,090円(+59円)
発効予定:12月1日
宮城県
1,038円 → 1,098円(+60円)
発効予定:10月1日
秋田県
1,031円 → 1,090円(+59円)
発効予定:10月14日
山形県
1,032円 → 1,092円(+60円)
発効予定:10月30日
福島県
1,033円 → 1,094円(+61円)
発効予定:10月16日
関東
茨城県
1,074円 → 1,136円(+62円)
発効予定:10月18日
栃木県
1,068円 → 1,125円(+57円)
発効予定:10月1日
群馬県
1,063円 → 1,120円(+57円)
発効予定:10月3日
埼玉県
1,141円 → 1,196円(+55円)
発効予定:10月1日
千葉県
1,140円 → 1,195円(+55円)
発効予定:10月1日
東京都
1,226円 → 1,280円(+54円)
発効予定:10月1日
神奈川県
1,225円 → 1,279円(+54円)
発効予定:10月1日
中部
新潟県
1,050円 → 1,108円(+58円)
発効予定:10月1日
富山県
1,062円 → 1,119円(+57円)
発効予定:10月1日
石川県
1,054円 → 1,113円(+59円)
発効予定:10月3日
福井県
1,053円 → 1,112円(+59円)
発効予定:10月4日
山梨県
1,052円 → 1,113円(+61円)
発効予定:11月1日
長野県
1,061円 → 1,117円(+56円)
発効予定:10月2日
岐阜県
1,065円 → 1,121円(+56円)
発効予定:10月1日
静岡県
1,097円 → 1,154円(+57円)
発効予定:10月15日
愛知県
1,140円 → 1,195円(+55円)
発効予定:10月1日
近畿
三重県
1,087円 → 1,143円(+56円)
発効予定:10月1日
滋賀県
1,080円 → 1,136円(+56円)
発効予定:10月3日
京都府
1,122円 → 1,180円(+58円)
発効予定:11月16日
大阪府
1,177円 → 1,231円(+54円)
発効予定:10月1日
兵庫県
1,116円 → 1,172円(+56円)
発効予定:10月1日
奈良県
1,051円 → 1,107円(+56円)
発効予定:10月4日
和歌山県
1,045円 → 1,101円(+56円)
発効予定:10月3日
中国
鳥取県
1,030円 → 1,090円(+60円)
発効予定:10月3日
島根県
1,033円 → 1,092円(+59円)
発効予定:10月10日
岡山県
1,047円 → 1,104円(+57円)
発効予定:10月2日
広島県
1,085円 → 1,141円(+56円)
発効予定:10月11日
山口県
1,043円 → 1,101円(+58円)
発効予定:10月8日
四国
徳島県
1,046円 → 1,103円(+57円)
発効予定:11月1日
香川県
1,036円 → 1,092円(+56円)
発効予定:10月1日
愛媛県
1,033円 → 1,093円(+60円)
発効予定:11月1日
高知県
1,023円 → 1,086円(+63円)
発効予定:10月29日
九州・沖縄
福岡県
1,057円 → 1,114円(+57円)
発効予定:10月4日
佐賀県
1,030円 → 1,095円(+65円)
発効予定:11月15日
長崎県
1,031円 → 1,087円(+56円)
発効予定:11月2日
熊本県
1,034円 → 1,092円(+58円)
発効予定:12月1日
大分県
1,035円 → 1,096円(+61円)
発効予定:11月1日
宮崎県
1,023円 → 1,085円(+62円)
発効予定:10月24日
鹿児島県
1,026円 → 1,090円(+64円)
発効予定:10月25日
沖縄県
1,023円 → 1,086円(+63円)
発効予定:12月2日
今回、47都道府県で最も大きな引き上げ額となったのは、佐賀県の+65円です。
※ここで掲載しているのは2026年9月3日時点の答申内容です。発効予定日は今後の手続きを経て変更される可能性があります。
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最低賃金は誰に適用される?
「最低賃金って、アルバイトやパートの話でしょ?」
と思っている方は要注意です。
最低賃金は原則として、雇用形態や呼び方にかかわらず適用されます。
パート・アルバイト
もちろん対象です。
時給制で働いている人なら、自分の現在の時給と、発効後の最低賃金を比較すると分かりやすいでしょう。
正社員・月給制
正社員も対象です。
地域別最低賃金は、正社員・パート・アルバイト・臨時・嘱託など、雇用形態や名称を問わず、その地域で働く労働者に原則として適用されます。
「月給制だから最低賃金は関係ない」というわけではありません。
月給制の場合は、給与を時間額へ換算して最低賃金と比較します。
派遣社員
派遣で働いている人には、原則として派遣先の事業場に適用される最低賃金が適用されます。
派遣元の会社がある都道府県ではない点に注意しましょう。
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月給制の人は自分の時給をどう計算する?
月給制の場合、最低賃金と比較するために時間額へ換算します。
基本的な考え方は、
最低賃金の対象となる月給額 × 12か月 ÷ 年間総所定労働時間
です。
例えば、
最低賃金の対象となる月給:180,000円
年間総所定労働時間:2,000時間
なら、
180,000円 × 12 ÷ 2,000時間
= 1,080円
となります。
仮に、その人に適用される最低賃金が1,100円なら、
1,080円 < 1,100円
となるため、最低賃金を下回ることになります。
ただし、実際の計算では賃金形態、所定労働時間、各種手当などによって確認方法が変わる場合があります。
給与明細と雇用契約書・労働条件通知書などを確認しながら計算しましょう。
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「総支給額÷労働時間」で判断しない
ここは、かなり重要です。
例えば、
「基本給は少ないけど、残業代と交通費を入れたら結構もらっているから大丈夫」
と思っていたとしても、それだけでは最低賃金をクリアしているか判断できません。
最低賃金との比較から除外される代表的なものには、次のような賃金があります。
- 臨時に支払われる賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 時間外労働に対する賃金
- 休日労働に対する賃金
- 深夜労働の割増部分
- 精皆勤手当
- 通勤手当
- 家族手当
つまり、
「総支給額が多いから最低賃金は大丈夫」
とは限りません。
一方で、給与明細の「基本給だけ」を見ればいいとも限りません。
最低賃金との比較では、毎月支払われる基本的な賃金をベースに、最低賃金の対象になる賃金と対象外の賃金を分けて確認する必要があります。
「自分の場合、どの手当を含めればいいのか分からない」という場合は、給与明細と雇用契約書などを用意して、都道府県労働局や最寄りの労働基準監督署へ確認する方法もあります。
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最低賃金を下回っていたらどうなる?
「会社と自分の双方が納得していれば、最低賃金より安くてもいいのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、本人が同意していても最低賃金を下回る賃金を有効に定めることはできません。
労働者と使用者が最低賃金未満の賃金で合意していたとしても、最低賃金額に達しない部分は無効となり、最低賃金額と同額の定めをしたものとして扱われます。
そのため、最低賃金との差額が支払われていなければ、使用者は不足分を支払う必要があります。
また、地域別最低賃金以上の賃金を支払わない場合、最低賃金法では50万円以下の罰金が定められています。
「もしかして自分の給与、最低賃金を下回っている?」
と思ったら、まず給与明細や雇用契約書などを確認し、会社の給与担当者などへ確認してみましょう。
それでも解決しない場合や、計算方法が正しいか分からない場合は、都道府県労働局や最寄りの労働基準監督署に相談できます。
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地域別最低賃金と「特定最低賃金」の違い
ここまで紹介してきたのは、都道府県ごとに設定される「地域別最低賃金」です。
これとは別に、一部の産業には「特定最低賃金」が設定されている場合があります。
自分の仕事に地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合は、高い方の最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。
「自分の業種にも特定最低賃金があるのかな?」
と思ったら、各都道府県労働局の情報を確認してみてください。
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最低賃金が上がったら、自分の給料も必ず上がる?
ここも誤解しやすいところです。
現在の時給や、時間額へ換算した給与が新しい最低賃金を下回る人については、新しい最低賃金が発効すれば、その金額以上にする必要があります。
例えば、
現在の時給:1,080円
新しい最低賃金:1,100円
なら、新しい最低賃金の発効後も1,080円のままというわけにはいきません。
一方で、
現在の時給:1,300円
新しい最低賃金:1,100円
のように、すでに最低賃金を上回っている人については、
「最低賃金が56円上がったから、自分の時給も必ず56円上がる」
という法律上の仕組みではありません。
最低賃金は、あくまで賃金の最低ラインです。
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自分の給与を確認する3ステップ
最低賃金のニュースを見たら、次の3つを確認してみましょう。
① 自分が働いている事業場の都道府県を確認
↓
② その都道府県の新しい最低賃金と発効日を確認
↓
③ 自分の給与を最低賃金のルールに従って時間額へ換算して比較
時給制なら比較は比較的簡単です。
月給制の場合は、対象となる賃金と所定労働時間を確認して時間額へ換算します。
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まとめ|「全国1,177円」より、自分の最低賃金を確認しよう
2026年度の最低賃金は、答申ベースで全国加重平均1,177円。
2025年度の1,121円から56円の引き上げとなります。
ただし、
全国一律1,177円ではありません。
さらに、
10月1日に全国一斉で変更されるわけでもありません。
大切なのは、
自分が働いている都道府県はいくらになるのか。
いつから変わるのか。
自分の給与を時間額へ換算するといくらなのか。
を確認することです。
そして最低賃金は、パートやアルバイトだけの制度ではありません。
正社員や月給制で働いている人も、この機会に給与明細や雇用契約書を一度確認してみてください。
ニュースの「1,177円」という数字を知るだけで終わらず、自分の場合はどうなのかまで確認する。
それが、最低賃金を知る一番大切な意味です。



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