2026年10月から社会保険が変わる!契約は週20時間未満でも「実際は20時間以上」なら加入する?残業・早退・有給はどう扱う?

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1. 契約は週19時間。でも実際は20時間以上働いていたら?

「契約上は週19時間のパート。でも最近は追加シフトや残業が増えて、実際にはかなり働いている」

こんな場合、社会保険はどうなるのでしょうか。

社会保険の加入条件としてよく聞くのが「週20時間以上」という基準です。

原則として見るのは、雇用契約書や就業規則などで決められた所定労働時間です。

ところが、契約では週20時間未満でも、実際には週20時間以上働く状態が続いている場合、社会保険の加入対象になることがあります。

そこでこの記事では、

  • 残業や追加シフトで20時間を超えたら?
  • 何か月続いたら加入する?
  • 「月86.7時間」とは何?
  • 2月と31日の月でも同じ?
  • 早退・欠勤したら?
  • 有給休暇は実働時間に入る?

といった、実際に働くパート・アルバイトが気になるポイントを中心に解説します。

さらに、2026年10月に予定されている社会保険の賃金要件撤廃についても整理します。厚生労働省は現在、月額8.8万円以上という賃金要件を2026年10月に撤廃予定と案内しています。

2. 最初に結論

まず押さえておきたいのは、次の点です。

社会保険の短時間労働者の加入判定は、原則として契約上の「週の所定労働時間」が20時間以上かを確認します。

しかし、契約上は週20時間未満でも、実際の労働時間が連続する2か月で週20時間以上となり、その状態が引き続き続いている、または続くと見込まれる場合には、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3か月目の初日に被保険者資格を取得します。

さらに日本年金機構は、この実労働時間を確認する具体例として、

週20時間 × 52週 ÷ 12か月 = 月約86.7時間

を使った判定例を公式資料で示しています。

つまり、

「契約が19時間だから、どれだけ残業しても社会保険には入らない」

とは限らない、ということです。

3. 2026年10月から何が変わる?

現在、4分の3基準に該当しないパート・アルバイトが短時間労働者として社会保険に加入する場合、対象となる企業などで主に次の要件を確認します。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 学生ではない
  3. 所定内賃金が月額8.8万円以上
  4. 2か月を超えて雇用される見込みがある

厚生労働省は、このうち月額8.8万円以上という賃金要件を2026年10月に撤廃予定としています。

一方、週20時間要件などが2026年10月に一緒になくなるわけではありません。

また、企業規模要件も2026年10月に一斉撤廃されるわけではなく、その後段階的に対象が広がります。

したがって、

「2026年10月からパートなら全員社会保険に加入する」

という意味ではありません。

4. 「週20時間」は、まず契約上の時間を見る

原則として最初に確認するのは、実際に働いた時間ではなく、雇用契約書や就業規則などで定められている所定労働時間です。

週単位で決まっていれば分かりやすいですが、月単位で所定労働時間が決められている場合、日本年金機構は次の方法を示しています。

1か月の所定労働時間 ÷(52週÷12か月)

これは、

1か月の所定労働時間 ×12÷52

と同じです。

たとえば月87時間なら、

87 × 12 ÷ 52 = 約20.08時間

となります。

厚生労働省の最新ガイドでも、月単位の場合は「1か月の所定労働時間を52/12で割って判断」と説明されています。

5. 契約が週20時間未満でも加入することがある

ここからが今回の本題です。

たとえば、

契約:週19時間

だったとします。

原則だけを見れば20時間未満なので、週20時間要件には該当しません。

しかし、人手不足などで、

「毎週のように残業する」
「追加シフトに入る」
「契約より長く働く状態が続く」

ということがあります。

日本年金機構は、こうした場合について、実際の労働時間が連続する2か月で週20時間以上となり、その後も同様の状態が続いている、または続くと見込まれる場合には、3か月目の初日に資格取得するとしています。

したがって、

「契約が20時間未満なら絶対に加入しない」

ではありません。

6. 「2か月連続」とは?

ポイントは、1回だけ20時間を超えたかではありません。

たとえば繁忙期に、

「今週だけ21時間働いた」

というだけで、直ちにこのルールによって社会保険加入になるわけではありません。

見るのは、実際の労働時間が週20時間以上となる状態が連続する2か月で生じているか、さらにその状態が今後も続くと見込まれるかです。

日本年金機構の具体例でも、月約86.7時間以上となる月が単発で発生したケースでは加入対象とせず、基準以上の月が連続して、その状態が続くケースでは資格取得が必要とされています。

7. では「実際の20時間」をどう見る?

ここが今回もっとも重要なポイントです。

日本年金機構は、契約上の所定労働時間が週20時間未満の短時間労働者について、実際の労働時間が増えた場合の具体的な判定例を公開しています。

その資料では、

週20時間以上 = 月の労働時間 約86.7時間以上

として各月の実際の労働時間を比較しています。

計算すると、

20時間 × 52週 ÷ 12か月 ≒ 86.7時間

です。

別の日本年金機構の研修資料でも、

「週20時間×52週÷12月により算出した1月の労働時間(86.7時間)と比較」

という方法で、実際の月間労働時間を確認する具体例が示されています。

したがって、

「86.7時間は所定労働時間だけの話で、実労働時間の判定には使われていない」

という説明は正確ではありません。

日本年金機構自身が、実際の労働時間による資格取得の具体例でも86.7時間を使っています。

8. では「月86.7時間」が絶対ルールなの?

ここは少し慎重に考える必要があります。

日本年金機構が、契約20時間未満の人の実労働時間について、月約86.7時間と比較する公式の具体例を示していることは確認できます。

したがって、86.7時間は単なるネット上の目安ではありません。

一方で、今回確認した一次資料からは、

「会社が未加入者の実働状況を日常的にモニタリングする際も、必ずこの方法だけを使用し、それ以外の集計方法を使ってはならない」

とまで断定できる記載は確認できませんでした。

会社によっては、勤怠管理上、

月の実労働時間 ÷ その月の暦日数 ×7

などで、その月の平均的な週実働時間を確認している場合も考えられます。

ただし、これについても、

「会社は好きな計算方法を自由に使って資格取得を判断してよい」

という意味ではありません。

社会保険の資格取得について疑問がある場合は、日本年金機構が示している取扱いを踏まえ、会社の社会保険担当者や年金事務所に確認するのが確実です。

9. 2月と31日の月でも「86.7時間」は同じ?

「でも2月は28日しかない。31日の月と同じ86.7時間でいいの?」

ここは疑問に思いやすいところです。

実際、日本年金機構が示している資格取得の具体例では、

  • 2月1日~2月28日:105時間
  • 3月1日~3月31日:88時間
  • 4月1日~4月30日:98.25時間

というように、日数の異なる月が並んでいます。

そのうえで、月86.7時間と比較して判定する例が示されています。

つまり、少なくともこの日本年金機構の具体例では、2月だから86.7時間を28日用に調整する、といった方法は採られていません。

一方、会社が社内で実働状況をモニタリングするために暦日数を使って平均週時間を算出している場合には、同じ87時間でも2月と31日の月では計算結果が変わります。

ここは、

「日本年金機構が示す資格取得の具体例」と「会社内部の勤怠モニタリング方法」は必ずしも同じ話ではない

と理解しておくと分かりやすいでしょう。

10. 残業・追加シフトはどうなる?

厚生労働省は、通常の週の所定労働時間について、残業時間は原則含まないと説明しています。

ただし、「常に残業が発生している場合などは、週の所定労働時間の算出に含むことがある」とも案内しています。

さらに、契約上は週20時間未満でも、実際の労働時間が恒常的に増えれば、ここまで説明してきた2か月連続のルールが問題になります。

したがって、

1週間だけ残業して21時間
→ それだけで直ちに加入とはならない。

残業や追加シフトによって実際の労働時間が20時間以上となる状態が2か月続き、今後も続く見込み
→ 社会保険加入の対象になる可能性がある。

という違いがあります。

11. 早退・早上がり・欠勤したら?

契約上すでに週20時間以上の人なら、1回早退したからといって所定労働時間そのものが変更されるわけではありません。

今回問題にしているのは、

契約は20時間未満だけれど、実際の労働時間が20時間以上になっている人

です。

この人が2か月の判定期間中に早退・早上がり・欠勤した場合、個々のケースをどのように集計するかについて、日本年金機構の公開資料から詳細な取扱いまでは確認できませんでした。

したがって、

「1回早退したら2か月判定がリセットされる」

などと単純に考えるのは避けた方がよいでしょう。

境界線付近の場合は、勤務先の社会保険担当者や年金事務所に確認するのが確実です。

12. 有給休暇は実働時間に入る?

ここも、今回かなり調べたポイントです。

契約上の所定労働時間を見る通常の判定では、有給休暇を取得したからといって雇用契約上の所定労働時間が変わるわけではありません。

問題は、

契約上は週20時間未満の人について、「実際の労働時間が2か月連続で週20時間以上か」を確認するとき、有給休暇の時間をどう扱うのか

です。

今回確認した厚生労働省・日本年金機構の社会保険に関する一次資料では、このケースについて有給休暇の時間を「含める」「含めない」と明確に示した記載を確認できませんでした。

そのため本記事では、どちらとも断定しません。

他の労働制度での有給休暇の取扱いを、そのまま社会保険の実労働時間判定へ当てはめるのも避けるべきです。

実際にこのケースに該当する場合は、勤務先または管轄の年金事務所へ確認してください。

13. シフト制の場合は?

シフト制でも、まず確認するのは契約上の所定労働時間です。

所定労働時間が短期的・周期的に変動する場合、日本年金機構・厚生労働省は、その周期における1週間の所定労働時間の平均などによって判断する方法を示しています。

一方、

契約より実際のシフトが増えている

場合には、実際の労働時間が恒常的に週20時間以上となっていないかも確認する必要があります。

「シフト制だから20時間ルールは関係ない」ということではありません。

14. 具体例で確認

ケースA:契約週19時間。1週間だけ残業して21時間

単発なら、それだけで直ちに加入対象になるわけではありません。

ケースB:契約週19時間。残業や追加シフトで20時間以上の状態が2か月続いた

さらにその状態が続いている、または続く見込みなら、3か月目の初日から資格取得の対象となります。

ケースC:契約週19時間。月の実働が87時間前後になった

日本年金機構の具体例では、週20時間を月換算した約86.7時間と実際の月間労働時間を比較しています。したがって87時間前後が続いているなら、社会保険の対象にならないか確認した方がよいでしょう。

ケースD:2月も31日の月も87時間

日本年金機構の具体例では、月の日数にかかわらず86.7時間と比較しています。

ただし、会社内部の実働モニタリング方法がこれと同じとは限らないため、勤務先でどのように管理しているかも確認しましょう。

ケースE:判定期間中に早退・欠勤

個別の早退・欠勤をどう扱うかについて、公開された一次資料から詳細な計算方法までは確認できませんでした。

ケースF:判定期間中に有給休暇を取得

有給時間を実労働時間として含めるかについて、今回確認した社会保険の一次資料では明確な記載を確認できなかったため、断定できません。

15. 2026年10月以降、自分はどうなる?

まず確認したいのは、

① 勤務先が社会保険の適用対象となる事業所か

そして、

② 契約上の所定労働時間が週20時間以上か

です。

契約上20時間未満でも、

③ 実際には20時間以上働く状態が続いていないか

も確認してみましょう。

2026年10月には月額8.8万円以上という賃金要件が撤廃される予定なので、これまで以上に「週20時間」そのものが重要なポイントになります。

16. まとめ

社会保険の「週20時間」は、まず契約上の所定労働時間で判断します。

しかし、契約が週20時間未満だから絶対に社会保険に入らない、というわけではありません。

実際の労働時間が連続する2か月で週20時間以上となり、その状態が続いている、または続くと見込まれる場合には、3か月目の初日から資格取得する取扱いがあります。

そして日本年金機構は、その具体例として、

週20時間 ×52週 ÷12か月
= 月約86.7時間

と実際の月間労働時間を比較しています。

ただし、会社が未加入者の実働状況を日々どのような方法でモニタリングするかまで、すべて一律の方法しか認められないと断定できる資料は今回確認できませんでした。

また、早退・欠勤・有給休暇など、公開資料だけでは具体的な取扱いを断定できないケースもあります。

境界線付近にいる人は、

「契約が19時間だから大丈夫」と決めつけず、実際の勤務時間も確認する。

これが大切です。

参考情報

厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」⁠

日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」⁠

日本年金機構「実際の労働時間が恒常的に週20時間以上となった場合」⁠

日本年金機構の研修資料でも、実労働時間を月86.7時間と比較する具体例が確認できます。

※本記事は2026年8月29日時点で確認できる厚生労働省・日本年金機構の情報をもとに作成しています。個別の資格取得判定については、勤務先の社会保険担当者または管轄の年金事務所へご確認ください。

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